モノクロ技術

12 March 2007

引伸機ブレ

先日お伝えしたもう1つの引伸機の問題とは「ブレ」なんです。うちの巨大引伸機は背が高く、大伸ばし対応となっているので、その機能を使えるようにするためなるべく低め(60cmくらい)の台に乗せたかったことと、ベース板の大きさが900×600mmでそれ以上の大きさが欲しかったこと、部屋の戸が幅650mm以上の机(組み立て式ではない)は入らないこと、重さは50kg以上あり、耐久性の高い台がよかったことなどいろいろ規制がありまして、もちろん安いに越したことはありませんし、悩んだ結果ちょうどいい高さの脚があったので、天板900×600mm、足の長さ650mmのエレクターにしました。上板は木にして、下のスペースを有効に使いたかったので、3方クロスバーというよくエレクターを机に使う人が足や椅子を入れやすくするパーツで、足を支えました。今思うと入れる予定の場所ぎりぎりの大きい台にすればよかったのですが、この時はぴったりだと喜んでいたのです。

巨大引伸機は重くて、腰の悪い私では持ち上がらなかったのですが、友人に来てもらい設置しました。そして先日お伝えしたようにフィルムを挟んでレンズボードの水平をどうにか出し、早速引き伸ばししてみました。

するとどうも画像が甘いのです。ピントが合っているはずの写真も、甘い。良く見ると字が映っているところが二重になっています。どうやら机もしくは引伸機が揺れているようです。真っ暗の中でやっているし、引伸機が揺れているのは見ることは出来ません。プリントし終わって始めてブレているかわかるのでたちが悪いです。

それでもやっている最中にぶれ易いのはわかったので、なるべくそっと扱い、最後に印画紙をセットして、そのまま30秒ほど待ちます。改善はするのですがやっぱりぶれてるっぽい画像連発でその日はがっかりでした。

さて、対策はどうしましょう?

ピントも合わせ終わると、作業は引伸タイマーの数値設定と印画紙設置のみです。まず引伸タイマーを触っても引伸機が揺れないように離しました。といっても他には現像作業をする台しかなく、同じ高さに置くと薬品がかかる可能性があるので、その薬品台の下に設置しました。そして本体は
1)台と壁を固定する。
2)台を突っ張り棒で天井と繋ぐ。

Dscf0705_1というのを考えたのですが、どうもうまくいかなそうなので、とりあえず引伸機のポールと天井を、転倒防止の突っ張り棒で固定してみました。効果はどうも抜群のようです。揺れないことはないのですが、すぐ収まります。さっそくプリントを試してみましたが、前回とは雲泥の差でシャープさが出ています。これでひとまずは設定完了という感じでしょうか。あとは換気扇の設置ですね。これは部屋の温度管理にも関連してきてなかなか難しいです。

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27 February 2007

引伸機不具合

Dscf0887うちの引伸機はオメガD5 PRO-LABっていうんですが、夏に買って、年末年始に暗室が完成するまでずっと使わずに(というか暗室じゃないので使えず)置いてあったんです。で、暗室完成して、さあ、引伸だ~と始めました。でもなんかレンタルラボでやったように綺麗に焼けません。まあ条件はいろいろ違うのですが(引伸機も現像液も定着液も)、とりあえずオメガに詳しい友達に見てもらったんです。でそこで気づいたのはレンズボードの水平が出ていないこと。台とネガキャリアは地面と水平なのですが、レンズボードだけ先が下がっている状態なのです。レバーの割れとか他にも問題はあったのですが、最大の課題は水平が出ていないということでネガにピントが一部分しか合わない状態なのです。

買ってすぐ点検をしなかった私も悪いのですが(まあ、素人でよくわからないし)、とりあえず買ったところに連絡してみました。するとそんな症状は聞いたことが無いといいます。駄目な場合は引き取ると言ってくれたのですが、この引伸機に合わせて、暗室作ったし、ネガキャリアなどいろいろパーツも揃えたのに、なくなってしまうのは困ります。そうそうこの巨大な引伸機は手に入りませんし。とりあえず状態を見に来てもらうことになりました。

Dscf0890Dscf0892症状を詳しく調べてみると問題が起きそうなのは、レンズボードを上下するために(ピント合わせのほかに上下する仕組みになっている)レンズボードがレールにはまっているのですが、レンズボードにネジ止めされたレール摺動部がプラスチックなのです。レンズボード自体は鋳物の塊で変形するようなものではありません。またレールは垂直が出ています。ということで問題はそのプラスチックのパーツが変形してしまっているようなのです。

実は私はプラスチックエンジニアで、プラスチック部品の強度を計算したりする仕事なのですが、プラスチックに高い応力が長時間連続でかかるとプラスチックはじりじり変形していってしまうのです(クリープ現象といいます)。それはプラスチックが粘弾性体であるため仕方の無いことなのですが、そのため高い応力(高い荷重ではありません)を連続してかけるのはだめなんです。

このパーツの場合、
・上下出来るため、通常は緩まないように真中をネジでぐっと締めて止めている(突っ張り棒のような仕組み)。
・レンズボード自体も重いし、更にターレット式のレンズ取り付け部品もついており、それが非常に重い。

という仕組みのため、プラスチックに高い応力が加わっているようです。

原因はわかりました。さて対策はどうしましょう?

1)レンズねじ込みパーツをターレット式ではなく、1枚板金の軽いものにする。
2)プラスチックパーツがレンズボードに4つのネジで止まっているので、レンズボードとプラスチックパーツの間になにかを噛ませて、クリープしてしまった(つぶれてしまった)ぶんを持ち上げてやろうという作戦。

1)は引伸機を買ったお店のご主人が都合してくれるとのことで、2)を自分で行ってみました。

Dscf0696まあ、微妙な寸法だろうと、水準器で水平が出るまでフィルムを切って入れてみました。1枚2枚...まだまだ。3枚、4枚...まだまだ。結局15枚を入れないと水平が出ないことがわかりました。マジで?このプラスチック弱すぎ。フィルムの厚みは0.144mmですから(測ってみました)2.16mm変形しているということです。

これだけ隙間を空けると、今まではレンズボードに押し付けられて変形を防いでいた力も、曲げの力がかかってしまって、今は良くてもすぐクリープしてしまいます。とりあえず今は水平が出ているけど、解決にはならない...

ということは部品交換しかありません。新品が売っているのかアメリカ中のお店を探してみましたが、見つかりません(WEB上では。電話すれば見つかるのかもしれませんね)。あとはアルミの塊から削りだして作る?うーん、難しそう。元の寸法(プラスチック部品が変形する前の寸法)がいまいちわからないから、注文も出しにくいです。

Dscf0891Dscf0894_1そんな時eBayで、レンズボードの同じ物が出品されているのを発見しました。そっくり同じ物です。しかし、使い込んであります。これも変形してしまっている可能性が高いです。でもまあ駄目モトで入札してみました。$46。まあ勝つだろうと。でも負けてしまいました。新品なら$150ぐらいだしてもいいところでしたが、駄目かもしれないものに5000円以上出せません。そうしたら出品者から「もう1つあるけど$46でどう?」というメールがきました。今回は2人のみで競ったので、落札者が出品者本人で値を上げていた可能性があります。なので「$30ならいい。」と言ってみました。すると「もう1つあるものはプラスチック部品が、真鍮なので高級なんだ。$40ならどう?」という返事が返ってきました。なに!真鍮製!これは改善が期待されます。買うことにしました。

そして待つこと1週間ちょっと。

Dscf0899Dscf0896レンズボードを早速交換してみます。レールに付いているストッパーを外し、レンズボートに付いている蛇腹を外し。届いたばかりのレンズボードを嵌めて、水準器を乗せると...なんとぴったり水平が出ているではないですか! やっぱり大正解。色もグレーから黒になり精悍になりました。これならターレット式のものでも耐えられそうですが、軽いレンズねじ込みボードを取り付けて、私の引伸機の完成です。一時期はまた1から引伸機探しか?と思ったのですが、どうにかなってよかったです。別の問題(また後日ご紹介します)もありますが、引伸機不具合は解決いたしました。

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09 February 2007

2度目のフィルム現像

(前回の記事書く前に、この現像も行っていたのですが、書くのに時間がかかってタイムラグがあります。)

前回の作業の後、またいろいろ調べて変えたことがあります。

前浴はしない。
定着液を非硬膜型のイルフォードハイパムフィクサーにする。
棚を広く使う。

これにすると水洗促進剤もいらないので、用意する薬剤は前回の5種類から一気に3種類となります。そしてなるべく新鮮な現像液を使いたいとの理由から、1353タンクを使うことにしました。このタンクだと135フィルムなら3本、120フィルムなら2本を一気に現像できます。また容量が1200mlなのでそれぞれの分量を測りやすいという利点もあります。

Dscf0534現像液HC-110 E希釈。100ml:1100ml。
停止液 35.3ml:1164.7ml
定着液ハイパムフィクサー 240ml 960ml

前回の定着時間がなんか長い気がしたので、今度はちゃんとテストします。フィルムの切れ端を入れて、それが透明になる時間を計ると1分13秒。なので余裕を見て定着時間は3分としました。

35mmフィルムのリール巻きはブローニーよりやり難いです。長いし、硬いし。3本中2本目がなんか不安でやり直し。

現像時間5分。停止時間30秒連続撹拌。定着時間3分。水洗は10回撹拌、20回撹拌してから、流水でしばらく流しておしまい。びっくりしたのが完成したフィルムが柔らかいこと。硬膜ってそんなに違うんだ。フィルムを吊るして、スポンジで拭いていきます。1本目いい感じ。2本目!なんか変。3本目もいい感じ。どうもリール巻き状態が不安だった2本目はやり直しても駄目だったみたいです。なんか全体的に暗くて、四角い黒いものがたくさん入っています(たぶんパーフォレーションの跡)。

Dscf0535つづけて120フィルムも開始。こっちは2本ともうまくいきました。引き伸ばしていないから、ちゃんとはわからないけど、前回よりかなりいい感じ。自分の標準現像にしていい気がしました。

このタンクを使うと2回の現像で5本のフィルムが処理できます。現像を溜まっていたフィルムも全部終わってしまいました。うん、いいかも!現像液はどれくらいで使えなくなるかいまいちわからないので、破棄。停止液と定着液はきちんと蓋の閉まるタンクにしまいました。次回はすぐ使えます。

反省点。
リール巻きは慎重に。

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05 February 2007

初フィルム現像

1番最初は誰かと一緒に教えてもらいながらやりたかったんだけど、みんな忙しいみたいで、一人で決行することにしました。この日のために貯めた撮影済みフィルムはブローニー4本と35mm3本。前の日に新品フィルムを使ってリール巻きの練習をしました。手巻きではコツを掴めなかったのですが、パーフェクトローダーなるものを買っておいたのです。それを使うと結構簡単に巻くことが出来ることがわかりました。とりあえずそれでいくことにして、いざ決行!

Dscf0336_1まずは薬品作りから。

前浴剤。フジのドライウエルの使用液の1000万倍希釈液だって!苦労して作る。

現像液はその場で作って使える利点があるのでHC-110を選択。説明書どおりに1.9リットルの保存液を作り、更に1:7に希釈して、B希釈現像液を作る。マスコ1201を使うので要領700mlに合わせる。87.5ml:612.5ml。

停止液。酢酸の臭いが嫌いなので(学生時代にトラウマあり)臭いのしないってのを買ってみたけど、これは結構高いんです。1:33に希釈。

定着液。コダフィックスを説明書どおりに、1:3に希釈。700mlだから175ml:525ml。

さあ、始めようと思い、それぞれの時間を調べました。

前浴30秒撹拌を横と縦それぞれ。
現像 24℃ 2分半!
停止 30秒
定着 5分
水洗 促進剤を使わないと30分!これはまずいと急遽水洗促進剤を買いに行きました。薬品を作ってしまったので明日買いに行くわけにもいきません。フジのQWを買ってきました。

1分予備水洗。水洗促進剤1分。水洗5分。

さてさて緊張の一瞬です。部屋を真の暗闇にして作業スタート。目を開けていても何も見えない世界って始めて。目をつぶっているんだか開けているんだかわからない気になってきます。ブローニーフィルムの裏紙を外していきます。??!紙とフィルムはどっちが上だ?わからないくなってしまいました。手触りで判別。とても手袋なんかしてられません。隅を折ると紙とフィルムはかなり感触が違いました。で硬い方をフィルムと決めて、リール巻き。うまくいってタンクに装填。電気を点けて、残った方を見るとちゃんと裏紙でした。よかった(笑)。

さてさて薬品注入です。タイマーはキッチン用を用意。前浴剤投入!泡取り!撹拌!排出!前浴剤に色が付いて出てきました。びっくり。いよいよ現像液投入です。タイマースタートして入れ始めます。マニュアル通り7秒なんかじゃ入らない。泡取りと撹拌。2分23秒で排出開始。マニュアルどおり7秒じゃ出ない。排出終わったらすかさず、停止液注入。30秒撹拌。これで一安心です。定着液を次に入れて、水洗して、水洗促進剤に入れようと、タンクを開けようとするがどうしても開かない!結局縁をマイナスドライバーをノミのように使って開けました。おお!これは夏に友達から借りて撮ったイマゴンのフィルムじゃん!濃度的にはなかなか。5分の水洗も終えて、今度はスポンジで水切り。吊るしたフィルムを2つのがスポンジで挟んで拭いてみる。??水がたくさん付着している。なぜ?どうもゆっくり拭いた方がいいようだということをかなり拭いてみて気付きました。

調子に乗って2回目を始めます。リールは2つ用意済み。リールって濡れているとだめらしいですね。フィルムのリール巻きは順調。前浴をして、現像液を入れ、タンクのキャップを閉めようとすると閉まらない!!げ!どうして~。あたふたしている間に1分と過ぎていき、ちゃんと撹拌できないまま現像時間終わり。どうもキャップを流しに置いているうちに冷たくなって、ちょっと小さくなってしまったみたいです。
しかたないので手でしっかり押さえながら続きをして、最終的にはやっぱりタンクが開かず、ドライバーの世話に。ネガは黒い~。露出の性じゃないとすると現像ミスだ。でもちゃんとした露出のコマもあるので不思議。撮影ミスかも。

3回目。大失敗。緊張がなくなってしまったのか、停止液を入れようとして、定着液を入れてしまう。まあどちらも酸性液だから大丈夫かもと続けた。ちょっとだけフィルムベースが紫だけど、露出はちゃんとしていた。なんか定着液に現像液の残りが直接入ってしまって、かなり液が痛んだ気もしたので、この日は終了。

ってことで初フィルム現像はうまくいったんだか失敗だったのか。思っていた以上に大変な作業であることがわかりました。うまくいった1本目のフィルムも、吊るしてあったのを落としてしまい、傷が付いてしまったし(涙)。

Dscf0345_1
反省点
メスカップには大きく、名前を書いておく(現像液とか)。
作業場は広くしておく。
タイマーはマグネットで固定していたんだけど、落ちそうで危なかったので、ちゃんと固定する。
現像2分半はリスキーなので、24℃で5分でいい、E希釈にする。
タンクの蓋は流しに置かない。
マスコタンクは軽くしめる。
フィルムを挟むやつはフィルムはしっかり掴めるけど、自分が落ちやすい。

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27 January 2007

暗室やっと完成

なかなかブログを更新できないのは仕事が忙しいのもあるのですが、家に帰ってからいろいろ活動しているからなのです。昨年秋ごろから取り掛かった暗室製作ようやく完成しつつあります。

なんと言っても苦労したのは、水槽の移動です。水槽を移動するには水を抜かないといけないのですが、水を捨てるわけにはいかないのです。水は糞を分解してくれるバクテリアが繁殖していて、それが水をある程度綺麗にしてくれるからです。で、やっとのことで気合入れて、水槽を移動したのが12月。

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それから他のものも移動して、窓に暗幕を張って、必要な台を買って、正月休みにどうにか完成しました。

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それまでは小物や薬剤を買って準備はしていました。ネガキャリアは引伸機に付いていたのが、35mm、6×6、6×7、6×9。6×9は2つ。1つは友人がベリワイド用6×10に改造してもらう予定です。eBayとかで買ったのが35mmハーフサイズと6×4.5。友人には4×5用をもらいました。あとは4×4用が欲しいですね。

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イルフォードのフィルターも買って、そのフィルターを引伸機で使えるようにするパーツも買いました。

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ピントルーペはピークの小穴式II型

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引伸レンズは
50mm EL-ニッコール50mm/f2.8 ロダゴン50mm/f5.6
80mm ロダゴン80mm/f5.6
90mm フジノンEP90mm/f5.6
105mm EL-ニッコール105mm/f5.6
135mm フジノンEX135mm/f5.6
みんな安く買ったやつなのでメンテナンスがいるのもあります。引伸レンズの違いを見るのも楽しみです。

イーゼルはISEの4枚ブレード。

薬品はフィルムがTX400なのでコダック中心で揃えてみました。

フィルム関連
現像液HC-110。
停止液 臭いのしない停止液
定着液 コダフィックス ソリューションとスーパーフジフィックス-L 

ペーパー関連
現像液 ポリマックスT デベロッパーとフォルテウォームトーンデベロッパー
停止液と定着液はフィルムと一緒。

その他薬品
水洗促進剤 富士QW
水切り剤 ドライウエル

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現像タンクは前にも書きましたがマスコの1201と1353です。最近追加で1351も買いました。

暇を見つけてはフィルム現像やプリントしていきたいと思っています。

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